『図説英国ティーカップの歴史:紅茶でよみとくイギリス史』

作成者
Cha Tea紅茶教室著
出版者
河出書房新社
刊年
2012.5

  暖かいお部屋で温かい紅茶をいただくのが似合う季節です。ダージリンやアールグレイといった紅茶の種類にこだわるのも楽しいです が、ティーカップの歴史を知ると、会話も盛り上がり、さらに楽しみが深まりそうです。
  ご紹介する本書によるとヨーロッパにお茶を伝えたのは日本だったとか。16世紀の戦国時代にヨーロッパから宣教師などが来日したときに、お茶の もてなしを受けたことからお茶の存在が伝わり、その後オランダが権利を得て長崎で緑茶を仕入れ、中国マカオで茶器を積み込んで持ち帰ったのが、ヨ ーロッパのお茶文化の始まりとなったようです。このため、日本の湯飲みと同じ、持ち手のないお茶碗でお茶を飲む貴族たちの肖像画がたくさん残って います。熱くて持ちにくいため、同じ柄のお皿に乗せて使ったことがソーサー(受け皿)の始まりとなり、急須は高価だったため茶碗に茶葉とお湯を注 ぎ、ソーサーに茶液を移して飲むということもされていたようです。やがて、貴族だけの飲み物だったお茶が、ヨーロッパ庶民の贅沢品としてまで普及し てきた18世紀ごろ、カップに持ち手がつき、ソーサーに移してお茶を飲むこともなくなっていったそうです。
  そんな初期のカップや、イギリス王朝で使われていた伊万里焼をモチーフとした金襴手の豪華なティーカップなど、目にも鮮やかな品々を本書で楽し むことができます。   ぜひティータイムをより楽しむためにお役立てください。