『名将の言葉:武人の生き様と美学: 90 quotes』

作成者
本郷和人著
出版者
パイインターナショナル
刊年
2011.6

  本書は、「勝つための奥義」「人を動かす法」「己を鼓舞するとき」「信 念己の信じる道」の4章からなる、そのタイトルどおり名将と呼ばれる歴史 的人物の言葉を紹介した本です。
  見開きの片面に、それぞれの言葉についての簡単なエピソードとその人物 のプロフィールが、もう片面には、愛好した品々の写真などが掲載されてい ます。単に名将の言葉を紹介するだけではなく、様々な角度からのアプロー チで、名将の生きた時代背景やその言葉が発せられた状況をあわせて知るこ とができ、その人物や言葉の意味をさらに深く理解できるような気がします。
  今は、武士の世の中でありませんが、信念はいつの世にも通じるものがあ るように思います。なかでも、私が気になったのは、奈良に縁の深い剣術家 ・柳生宗厳の五男、柳生宗矩の言葉で、「われ人に勝つ道を知らず われに 勝つ道を知る」です。とてもストレートですが、とても深い言葉だと思いま す。簡単なことではありません。
  他にもたくさん気になる言葉があり、その人物についてさらに深く知りた いと思うようになりました。また、この先のいろいろなシーンで、苦しいこ と、辛いこと、悲しいこと、心が折れそうになったりした時、心の引き出し からこんな言葉が出てきたら、きっと勇気づけられ、励まされ、癒されるの ではないでしょうか。それは、過去に読んだ本の中のフレーズでも、ある人 が話した一言でもいいのです。私がつまずく石ころは小さいけれど、日本に 起きた災害や事件の被害者にはとてつもない大きな山だったりします。そん な時、その一文や一言に助けられることも多いのではないでしょうか。心の 引き出しは沢山ある方がいいと思います。