※下記は、2010年に確認した内容でありますが、その後外観や記載内容が変更されている場合があります。

奈良筆(ならふで)

概要

6世紀の初め、仏教の布教とともに経典の需要が高まり、中国から筆や墨が輸入されるようになった。その後、遣唐使として唐へ渡った空海が、平安初期に筆と墨の製法を持ち帰り、国内で作られるようになる。
このとき、空海から毛筆の製法を伝授された大和国の住人・坂井清川(さかないきよかわ)が筆を作り、嵯峨天皇に献上したのが、奈良筆そして日本の筆の始まりとされる。
制作工程においては、客や店の希望を聞いて原料の動物の毛の種類を選ぶのが奈良筆の特徴。
選毛から仕上げまで十数段階にも及ぶ工程をすべて1人の職人が手がけるが、墨がよく染み込むように毛の油分を取り除く作業や毛のくせを直す作業、毛の先端と根元が逆さになった逆毛を取り除く作業が特に重要とされる。
歴史と伝統、高い品質を誇る奈良筆は、長い間、奈良の墨とともに土産品の上位にあった。
今日では、便利で新しい筆記具が主流を占めるようになったが、奈良筆の品質は、書家や専門家から高く評価され続けており、国の伝統的工芸品にも指定されている。

参考

※写真は、「なら工藝館」(奈良県奈良市阿字万字町1-1)で撮影。筆の制作は奈良筆伝統工芸士・鈴木一朗さん

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