前鬼(ぜんき)は、吉野郡下北山村の一地区。大峯奥駈修行の第29番の行場で、役行者(えんのぎょうじゃ)に従事した前鬼・後鬼(ごき)の子孫が住み着いた地とされ、前鬼の里とも呼ばれる。
前鬼・後鬼夫婦の5人の子は、五鬼または五坊と呼ばれ、それぞれ、真義(五鬼熊・行者坊)、義継(五鬼継・森本坊)、義上(五鬼上・中之坊)、義達(五鬼助・小仲坊)、義元(五鬼童・不動坊)の五坊を開き、修験者の世話をしながら自身も修行を続けてきた。しかし、時代の流れとともにこの地を去り、現在も残る宿坊は、五鬼助・小仲坊のみである。
付近には水量豊かな前鬼川が流れ、裏行場三重滝や、日本の滝百選にも選ばれた不動七重滝がある。
所在地:奈良県吉野郡下北山村