神仏に供え物をするときに使う三宝(三方)と神具は、吉野郡下市町の伝統産業である。その歴史は古く、後醍醐天皇が吉野に皇居を移したとき、献上物の器として、三宝を用いたのが始まりとされる。
三宝は、折敷(薄く剥いだヒノキで作った縁つきの盆)の下に台がついた形をしており、台の三方向にくりぬきがある。
下市の三宝は、吉野の良質なヒノキを材料とし、白木の美しさが特徴。全国市場の9割近くを占め、奈良県の伝統的工芸品に指定されている。
※写真は、北浦孝治さんの工場(奈良県吉野郡下市町下市899-2)で撮影