荒坂峠の北に位置する荒坂瓦窯群の一つで、昭和8年(1933)に発見され、同年と昭和47年(1972)に発掘調査が行われている。
北向きの丘陵斜面に築かれた半地下式の登り窯で、全長は9.1メートル。
窯の内部と周辺からは、複弁八弁蓮華文軒丸瓦(ふくべんはちべんれんげもんのきまるがわら)、四重弧文軒平瓦(しじゅうこもんのきひらがわら)、丸瓦、平瓦などのほか、須恵器が見つかった。
瓦類は明日香村の川原寺跡から出土したものと共通することから、この窯跡は白鳳時代に川原寺創建のために営まれたものだと考えられている。
荒坂瓦窯群では14基の窯が知られる。なかでも、この1号窯はよく原形をとどめており、昭和49年(1974)3月26日に県の史跡「荒坂窯跡」に指定されるとともに現地で保存され、見学ができるようになっている。
所在地:奈良県五條市西河内町