≫奈良県立図書情報館メールマガジン≪ 「Lib Info NARA −奈良県立図書情報館通信」 H20.3.1  No.065 *3月の休館日について  毎週月曜日。28日(金)は月末休館日です。 ■==■目 次■==■ 図書情報館トピックス 情報BOX これも図書情報館 図書情報館−職員独り言 連載「図書情報の文化史」 編集後記 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― ■図書情報館トピックス■ #企画展示(2階メインエントランスホール)   □「「組漢字」タイポグラフィ 奈良を発信!」展を開催しています。9 日(日)まで。    詳しくは、     http://www.library.pref.nara.jp/event/exhibition_k.html#TABE    をご覧ください。   □3月11日(火)より「西洋人の日本観2 シーボルトの図書コレクシ ョンより」を開催しますが、会期中、3月16日(日)に記念講演会、19日 (水)にドイツ マンドリン・ギターコンサートを開催します。講演会申込み 受付中。    詳しくは、     http://www.library.pref.nara.jp/event/exhibition_k.html#WESTER NER_02    をご覧ください。 #図書展示(3階ブリッジ)   □「日本とドイツの美しい本2006−第41回造本装禎コンクールとド イツの最も美しい本2006」展を開催しています。9日(日)まで。    詳しくは、     http://www.library.pref.nara.jp/event/exhibition_k.html#GERMAN Y    をご覧ください。 #戦争体験文庫 企画展『戦争と手紙』2「戦地からの手紙」を開催していま す。27日(木)まで。 詳しくは、   http://www.library.pref.nara.jp/sentai/kikaku.html  をご覧ください。 #図書館劇場2第6幕「谷崎潤一郎と吉野」の参加申込み受付中。  詳しくは、   http://www.library.pref.nara.jp/event/librarytheater.html  をご覧ください。 #図書情報館ITサポーターズによる「パソコン水曜倶楽部」、「パソコンウ イークエンド倶楽部」、開催日時等詳しくは、   http://www.library.pref.nara.jp/supporter/wedclub.html  をご覧ください。 #3月の簡単パソコン教室は、9日(日)、16日(日)で、各日とも13: 30〜15:00まで。定員は15名です。本日より参加申込みを開始します 。  詳しくは、   http://www.library.pref.nara.jp/event/easypc.html#NO24  をご覧ください。 #NHK奈良放送局では当館との共催で、奈良放送局が制作した「ドラマ 万 葉ラブストーリー」の上映会と意見交換会を実施します。秋の奈良の美しい景 色の中で紡がれる恋物語3篇をご覧いただき、視聴者の皆様とドラマ制作者が 意見を交換する場です。事前応募は不要です。 日時:3月23日(日)13:30〜15:20(開場13:00) 会場:1階交流ホール 詳しくは、  http://www.nhk.or.jp/nara/event/index.html をご覧ください。 また、万葉ラブストーリー 脚本募集中! 詳しくは、 http://www.nhk.or.jp/nara/manyou/index.html  をご覧ください。 #奈良商工会議所と共催で、『経営無料相談会』を開催しています。  来年3月まで、毎月第1、第4土曜日の13:30〜16:00に3階グル ープ研修室で行います。今月は本日と22日です。事前申し込み優先。  詳しくは、   http://www.library.pref.nara.jp/event/koen.html#BUSINESSPLAN  をご覧ください。 ■情報BOX■ ○新着図書情報  月に1度更新します。下記ページをご覧ください。  http://www.library.pref.nara.jp/search/newarrival/index.html ○ホームページのビジネス支援のページ「B−SIDE」、皆さんのビジネス や調査にお役立てください。また、ご意見、ご感想をお寄せください。   http://www.library.pref.nara.jp/biz/index.html ○館の有料施設の予約を受付けています。詳細は、県立図書情報館ホームペー ジの有料施設利用案内のページをご覧ください。 http://www.library.pref.nara.jp/guide/use_guide01.html セミナールーム及び交流ホールについては、県・市町村共同運営による施設予 約システムからインターネットにより予約することもできます。インターネッ トで予約を行うには事前の利用者登録が必要です。詳しくは施設予約システム の利用案内をご覧下さい。 https://e-kotonara.jp/ ■これも図書情報館(47)−装幀のはなし:福永武彦の本をめぐって■   福永武彦は、造本や装幀にたいそう拘った作家であった。彼は、昭和23( 1948)年に第一詩集『ある青春』を北海道帯広の北海文学社から出版した。終 戦の年に疎開で妻の原條あき子の故郷に移り、帯広中学の英語教師をしていた 時のことである。この本の装幀をしたのは、版画家の川上澄生。川上も戦時中 に宇都宮から北海道に疎開し、苫小牧近くの白老に住み英語教師をしながら創 作を続けていた。   福永は学生時代に、川上澄生が手がけた萩原朔太郎『猫町』や『郷愁の詩 人与謝蕪村』の装幀に出会い、それ以来、川上の異国情緒あふれる版画や絵本 の数々に常に親しんで来た。彼は『ある青春』を出すにあたって、せめて詩集 だからちょっとは贅沢したいと無鉄砲にも装幀を川上に頼もうと考えついた。 一面識もない川上に装幀を依頼する手紙と詩集の校正刷りとを送りつけ、一日 千秋の思いで返事を待った。すると返事よりも先に、表紙絵、口絵および挿絵 三葉の版木と特製本のための手刷木版が送られて来て躍り上がるほど感激した という。 出来上がった本は、B6版フランス装で表紙中央が青色で四角く彩られ、書名 と福永の名が刻まれている。扉に記された「若く死んだ人達に ふるさとへ帰 りし人や冬の蝶」という句をイメージするかのように、題字の周りには唐草が おかれ2匹の蝶が舞っている。口絵は「蝶に乗る美神」と題され、さながら花 の精であるかのような柔和な瞳の女神が4色刷りで色鮮やかに描かれている。本 文は全161頁。所々に「Pensee」「海の旅」「エロデイアド」と名付けた収録 詩をイメージした挿絵が添えられた。この本は、普及版の他に特製本50部が出 版された。   作家であり、フランス文学者でもあった福永は生存中に、小説、随筆、翻 訳、評論集など60冊余りの単行本と『福永武彦全小説(全10巻)』などを遺し た。そのうち限定版や特製本は20冊近くもあり、自分の好みを存分に生かした 本づくりを行った。『風土』私家版や『芸術の慰め』初版、新装版など自ら装 幀を手がけたものもあるが、版画家の川上澄生、駒井哲郎や画家の岡鹿之助、 熊谷守一らの手によって、数々の洗練された美しい本が生み出された。彼らは 、福永の評論集『意中の画家たち』や幾つかの随筆集にも登場する彼の敬愛す る芸術家たちでもあった。作家が装幀にどこまで発言するのか、装幀者との関 わり方はどうなのかは不案内であるが、福永の本には、彼の美意識や本づくり への熱い思いが色濃く投影したのではないかと思われる。   それは彼の文庫本にも表れていた。1970年代半ばのことであったと記憶す る。新しい文庫本が次々に登場し老舗文庫も色刷のカバーを付け始めた。当時 福永の小説は、新潮社文庫と創刊まもない講談社文庫で数点出されており、そ れらにもカバーが付けられた。岡鹿之助や駒井哲郎など幾人かによって描かれ た装画は、落ち着いた色合いで洒落たものが多く、福永の文庫本をいっそう魅 力的なものにした。   版画家の恩地孝四郎は「本は文明の旗だ。その旗は当然美しくあらねばな らない。美しくない旗は、旗の効用を無意味若しくは薄弱にする。・・・ 即 ち本である以上美しくなければ意味がない」と言っている。福永武彦も、テク ストだけでなく、造本、装幀もあわせた総合芸術としての本を求め、美しい本 づくりに情熱をかた向けた一人ではなかったかと思う。彼のその姿勢は、自著 だけでなく、『堀辰雄全集』など編集に携わった作家、詩人の本づくりにも及 んだという。 【参考文献】 (1)福永武彦著「川上澄生さんのこと」(『随筆集 枕頭の書』新潮社) (2)平澤秀和著『木版の詩人 川上澄生と北海道』(北海道新聞社)所収図 版 (3)福永武彦著『ある青春』普及版(北海文学社) (4)谷田昌平著「文人らしく生きた福永さん」(『福永武彦全集 第20巻』 月報20 新潮社) (5)谷田昌平編「初出と書誌」(『福永武彦全集 全20巻』各巻巻末 新潮社 ) (6)恩地孝四郎著『本の美術』(誠文堂新光社)             *(3)以外は当館所蔵。(3)のテクストは『全集 第13巻』に収録。                  (余話) 図書館の図書目録には、装幀者のデータ項目がありません。従って、例えば恩 地孝四郎、富本憲吉や棟方志功たちがどうような本の装幀をしたかを探そうと 思っても、彼らの伝記、年譜、作品集や装幀関係の本などをひも解いて探すし か方法がありませんでした。昨年、かわじもとたか編『装丁家で探す本:古書 目録に見た装丁家たち』(杉並けやき出版)という本が出され、当館でも受け 入れました。明治以降999人の装丁家の作品名のほとんどが採録されており、 簡単に探すことが出来るようになりました。ただし、掲載されている図版が少 ないのが残念です。 (もりかわ ひろゆき) ■図書情報館−職員独り言(47)■ 春を待つ君に・・・   もう少しで、春を迎えようとしていた君は、 残念ながら、少し先に延びてしまいましたね。 だけど、少し大人になりましたね。 自分よりも友達のことを喜ぶことを忘れなかったね。 人は、人に優しく出来ることが大切です。 そして、そんな君に桜の花が咲く頃に、笑顔の花が 咲くように祈っています。 春から新しい門出を迎える皆さんに、花を愛でるように 心にも綺麗な花が咲きますように・・・。   図書情報館の前の佐保川の土手に水仙の花が咲いています。 桜の花が、咲くまでには、あと少し時間がかかりそうです。 (にしかわ けいこ) ■連載「図書情報の文化史」素描編■ 第65回 『三教指帰』(15)                            館長 千田 稔 最後の巻(巻下)において、仏教について多く語られ、空海が儒教、道教より も仏教の優越性を説く。仮名乞児(かめいこつじ)なる人物が仏の教えを、亀 毛先生と蛭牙公子と兎角公に語るという場面が設定されている。『三教指帰』 の中で、最も長い巻を構成している。ここでは、空海が平城京の大仏のもとに なった華厳経について語っている箇所を抜き書きしておくことにしたい。  「生死海の賦」と題して仮名乞児が語る。まずは、やや長いが訳文を引用す る。「いったい生死(まよい)の海というものは、『三有(さんう)』すなわ ち欲界・色界・無色界の三界まで掩(おお)いつくして、見わたすかぎり果て しもない。『四天』すなわち東西南北の四天下の外をとりまいてひろびろとひ ろがり、側かり知ることができない。それは一切の存在を生み出し、数かぎり ないものを総括する。大きな腹をからっぽにして多くの流れを受け入れ、大き な口を開いてさまざまなクリークの水を吸い込む。・・・」というくだりの、 「大きな腹をからっぽにして・・・」の部分。「華厳経」巻四一の「一切諸仏 の無上の腹を得て、悉く能く一切衆生を容受す」との関連が指摘されている。 (つづく) ♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪ 【 県庁各課等のメールマガジン 】 ◇ 読者登録をお願いします!◇ ♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪ 読者登録はこちらから! 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