≫奈良県立図書情報館メールマガジン≪ 「Lib Info NARA −奈良県立図書情報館通信」 H18.12.1  No.035 *今月の休館日は、毎週月曜日です。 なお、28日(木)〜1月4日(木)は休館です。 ■==■目 次■==■ ◆ 巻頭言 図書情報館トピックス 情報BOX これも図書情報館 図書情報館−職員独り言 連載「図書情報の文化史」 編集後記 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― ■巻頭言■ ブックロードを通って   司書監 富山久代 東アジアにおける文化交流を捉える視点として、「ブックロード」という概念 を提唱している方がおられる。中国浙江大学日本文化研究所長の王勇氏である 。氏は、「奈良・平安期の日中文化交流−ブックロードの視点から」という書 物の中で、シルクロードと対比して、絹は中国に起源して世界各地に伝わった が、日本を含む東側諸国に伝わって、西側諸国には伝わらなかったものとして 、書物を媒介とする伝播・交流をあげておられる。氏によると、「旧唐書日本 国伝」には、次のような記事が見えるという。 養老元年(717年)、中国を訪れた日本の遣唐使は、唐の皇帝から賜った絹や 陶磁器などの賜品をすべて売り払い、その金で書物を購い日本に持ち帰った、 と。 彼らが持ち帰った膨大な書物の書名をみると、当時の東アジア世界における若 々しい国家であった日本の、先進文明そのものを吸収していこうとする激しい 渇望と自負を痛切に感じる。 もっとも彼らが購った書物の中には、こんな書物もあって興味深い。山中に迷 い込んだ貴公子が飛び切りの美女たちと濃密な一夜を過ごすという「遊仙窟」 なる唐代の伝奇小説、現代でいえばポルノグラフィとも言うべき小説もちゃん と入ってきている。この小説、中国では早くに散逸したが、日本では奈良時代 以来読み継がれ、その後の日本文学に大きな影響を与えた。作家の丸谷才一氏 は、「恋と女の日本文学」というエッセイで、「遊仙窟」を遣唐使山上憶良が 持ち帰ったのではないかと空想し、この舶来の色恋小説の大流行が平安期の貴 族たちの間に色好みという流行をもたらしたのではないか、と多分に期待もこ めて書いておられる。「恋と女の日本文学」は、小谷野敦氏の「バカのための 読書術」で、「児戯に等しい」と一言のもとに切り捨てられてはいるが、上代 の知識人たちが何を読んだのか、どう読んだのか、そして書物の背後に広がる 世界をどう夢見たのか、想像してみたくなるではないか。 参考:「奈良・平安期の日中文化交流 ブックロードの視点から」 農山漁村 文化協会 210.35−オウユ 一般開架 「恋と女の日本文学」 講談社 910.2−126 書庫  「日本国見在書目録」 古典保存会事務所 026−1 書庫 ■図書情報館トピックス■ #イベント  □「歴史遺産としての古典資料の保存修復」シンポジウムを開催します。開 催内容や申込み詳細は、下記ページをご覧ください。   http://www.library.pref.nara.jp/event/koen.html#RESTORATION  □奈良商工会議所シニアアドバイザーセンターとの共催で、「起業セミナー 」を開催します。開催内容や申込み詳細は、下記ページをご覧ください。   http://www.library.pref.nara.jp/event/koen.html#ESTABLISHMENT  □奈良県図書館協会地域資料研究会主催の公開講座、「県下の重文涅槃図を 読む − 宗祐寺と達磨寺の釈迦涅槃図 −」を開催します。開催内容や申込み 詳細は、下記ページをご覧ください。なお、当日参加も可能です。   http://www.library.pref.nara.jp/event/koen.html#NEHANZU  □第12回簡単PC教室を開催します。開講日は、12月16(土)日・17 日(日)です。それぞれ13:30〜15:30の2時間講座を各1回実施し ます。内容は挨拶状をつくりながら文書作成を学ぶというものです。申し込み 受付は、2階貸出返却カウンターで。また、電話での申し込みも可能です。申 し込み受付は、明日2日(土)からです。 #企画展示(会場は、2階メインエントランスホール)  □「奈良のうまいもの」と特産品紹介パネル展を3(日)まで開催していま す。関連の資料展示「奈良のうまいものをもっと知る」もあります(セミナー ルーム前)。   本日15:30から柿の無料配布、12/2(土)・3(日)は11:0 0から万葉弁当と柿けーきの販売、12/3(日)10:00から特産品(奈 良の野菜)の販売があります。   詳細は、    http://www.library.pref.nara.jp/event/exhibition_k.html#NARAFOOD   をご覧ください。  □5日(火)より10日(日)まで、「奈良のグッドデザイン製品展」(奈 良県広域地場産業振興センターと共催)を開催します。96年より今年までの 「ならグッドデザイン」選定製品を展示します。  □12日(火)より27日(水)まで、「奈良大和路仏像ポスター展」(県 観光課、奈良県観光連盟と共催)を開催します。昭和30年代からのポスター を約40点、一堂に展示します。また、期間中、2007年仏像カレンダーの 展示販売も行います。 #図書情報館ITサポーターズによる「パソコン水曜倶楽部」  ITサポーターズが運営する利用者交流の場です。毎月第1・第3水曜日の 13:30〜16:30、2階セミナールームで開催しています。今月は、6 日、20日です。事前申込みは不要です。詳細は、   http://www.library.pref.nara.jp/newlib/supporter/wedclub.html  をご覧ください。 #図書展示 □図書展示「年越し、春迎え」(会場:3階ブリッジ)   本日より、来年1月14日(日)まで開催します。 ■情報BOX■ ○新着図書情報  月に1度更新します。下記ページをご覧ください。  http://www.library.pref.nara.jp/search/newarrival/index.html ○ホームページのビジネス支援のページ「B−SIDE」、皆さんのビジネス や調査にお役立てください。また、ご意見、ご感想をお寄せください。   http://www.library.pref.nara.jp/reference/biz/b-side.html ○館の有料施設の予約を受付けています。詳細は、県立図書情報館ホームペー ジの有料施設利用案内のページをご覧ください。 http://www.library.pref.nara.jp/guide/use_guide01.html セミナルーム及び交流ホールについては、県・市町村共同運営による施設予約 システムからインターネットにより予約することもできます。インターネット で予約を行うには事前の利用者登録が必要です。詳しくは施設予約システムの 利用案内をご覧下さい。 https://e-kotonara.jp/portal/jsp/index.jsp ■これも図書情報館(17)■   チェコの作曲家スメタナの作品に交響詩『ヴルタヴァ(ドイツ語でモルダ ウ)』という曲があります。ヴルタヴァ川の源流から大河となり、悠々と流れ る様を描写しながら、川沿いの姿や歴史に想いを馳せるという名曲です。海に 面していないチェコの人々にとって、首都プラーハを貫流するヴルタヴァ河は 、母なる河なのでしょう。   ところで、図書情報館は、佐保川沿いに建っています。古くは万葉集にも 詠われている古代以来の河川です。不勉強なだけかもしれませんが、歴史的に はあまり注目されたことがないように思われます。春日奥山に、その源流があ ると聞いたことがありますが、最後は大和川に合流します。   この流れをたどりながら(まるで川くだりをするように)、改めて奈良を 眺めてみると、まったく違った姿が見えてくるかもしれません。図書情報館の 情報機器を使ってそんな空想がビジュアルになれば良いな、と思ったりします 。   日本には大河がないせいか、川から眺める、という視点があまりないよう な気がします。実際に、佐保川で川くだりはできないでしょう。しかし、情報 機器を使えば、佐保川から見た新たな奈良の姿を垣間見せることはできるかも しれません。   アイデアと想いが資料・情報や情報技術と結びつく、そこに図書情報館が あります。 (いぬい そういちろう) ■図書情報館−職員独り言(17)■ 近頃ずいぶん冷え込むようになりました。この原稿は11月上旬に書いている ところですが、皆さんの目にとまる頃にはもっと冷え込んでいるかもしれませ ん。寒くなると注意が必要なのが「カゼ」。メルマガ読者の方にも体調がすぐ れない方もいらっしゃるのではないでしょうか。 ご存じの方も多いと思いますが、当館は鉄道の駅からは離れており、バスを利 用しない場合は少し歩かなければなりません。徒歩の場合には寒空の下を行き 来することになりますから、体調も崩しやすくなることと思います。来館いた だけるのは、大変ありがたいことですが、体調を崩してしまっては読書の楽し みも半減です。来館の際には読書を楽しんでいただくために、健康にはご注意 いただきたいと思います。   (やたがい ともゆき) ■連載「図書情報の文化史」素描編■ 第35回 『万葉集』の周辺(その10)      館長 千 田  稔 『万葉集』から読み取る図書情報は、多彩であり、それだけ現代の私たちを引 きつける。それは叙情的な万葉のロマンといったものではない。例えば、多く の万葉歌人の中には、バイリンガルの人がいたかも知れないという想定である 。 単なる想像ではなく実際に中国語の口語を解した歌人がいたらしいことは、松 尾良樹氏が指摘した。例えば、次の万葉歌である。 北山にたなびく雲の青雲の星(ほし)離(さか)り行き月を離(さか)りて(巻2− 161) ここにいう北山は、原歌では「向南山」と書かれている。漢字表記の常識でい えば、「南に向かう山」であるから、「北にある山」つまり「北山」と理解し てしまう。ところが、松尾氏によれば、唐の時代の口語では「向」は「在」の 意味だという。だとすれば「向南山」は「南に在る山」と解することができる のではないかと、私は思った。持統天皇が、皇后時代に天武天皇が死去した際 の歌で、宮の立地からみても、南の山であるとするほうが、風景的に説明しや すい。(つづく) ♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪ 【 県庁各課等のメールマガジン 】 ◇ 読者登録をお願いします!◇ ♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪ 読者登録はこちらから! 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