≫奈良県立図書情報館メールマガジン≪ 「Lib Info NARA −奈良県立図書情報館通信」 H18.5.15 No.022 ■==■目 次■==■ 動画でメルマガ 図書情報館トピックス 情報BOX これも図書情報館 図書情報館−職員独り言 連載「図書情報の文化史」 編集後記 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― ■動画でメルマガ■  今回は、「芸草」の巻。下記よりご覧ください。 http://m01.library.pref.nara.jp:8080/mailmag/mailmag02.wmv メディアプレーヤーのバージョン9以降で動作確認できています。 芸草(うんそう)の花が咲きました。 (芸草:芸香(ウンコウ)、芸香草とも。香草の一種。ヘンルーダ属の漢名) 当館正面玄関前庭に芸草(うんそう)が一株植わっています。 まだ20センチほどの小さい株ですが、職員の丹精でこの冬を無事乗り切り、黄 色い小花をたくさんつけました。 『国史大事典』「芸亭(うんてい)」の項に、「古来、これを書籍にはさんで 防虫の効ありとされ、また書籍の別名ともなっている」と書かれています。千 二百年以上も昔に石上宅嗣(いそのかみのやかつぐ)卿が開いた日本最古の公 共図書館とされる「芸亭」の名はこの芸草に因んだとも言われています。 『続日本紀』に石上宅嗣卿が旧宅を喜捨して阿?寺(あしゅくじ)とし、その 一隅に外典を納めた書庫を建て、もし学問好きの人がここに来て閲覧を望んだ ときには、自由にそれを許したと記されています。 当館の庭に咲くこの芸草は、広く知識を求め、学問を尊び、万人に自由に開か れたものとするこころの原点を大切に思う何人もの人の手を介し、ふしぎな縁 をめぐってこの奈良県立図書情報館に植えられたものです。ご来館の折には図 書情報館のまだ小さな芸草をどうか愛でてください。(奇しき縁については後 日談といたします。) 「芸亭」の位置については『世界大百科事典』(平凡社)によると「阿?寺は 、平城京左京二条、法華寺の南東にあったらしい」とあり、『芸亭院 : 日本 最初の公開図書館』によると、平城京左京二条三坊のあたり、今の奈良市法華 寺町にあったのではないかと想定されています。 現在、奈良市立一条高等学校の東側に奈良県図書館協会によって芸亭の顕彰碑 が建てられています。 【参考】 「芸香雑記」猪熊泰三 『国立国会図書館月報No.107』所収(1970.2) 『全訳続日本紀4』p.172〜173 天応元年6月 東洋文庫 548 平凡社 1992 .4 080-6 『芸亭院 : 日本最初の公開図書館』桑原蓼軒 奈良 : 芸亭院創始千二百年記 念会, 1962.11 010.2-5 『国史大辞典』吉川弘文館 1979 210.03-71 『世界大百科事典』平凡社 1988 031-53-3 『原色園芸植物大図鑑』北隆館 1993 627.033-ホンタ (はなき けいこ) ■図書情報館トピックス■ #文化庁長官・河合隼雄さんのフルート演奏会 「四季花鳥図をめでる夕べ」を開催します。 平井裕子さん(ピアノ)、川口京子さん(歌)を招いて、四季をテーマにした 童謡を演奏します。日本画家の上村淳之さん作「四季花鳥図」が当館に寄贈さ れたのを記念する催しです。河合さんと当館の千田稔館長とのトークも予定し ています。  主 催 奈良県立図書情報館、朝日新聞社  日 時 6月2日(金)18:30〜20:00(開場18:00)  会 場 2階メインエントランスホール  申込み締め切り迫る!  往復はがきに、住所、氏名、電話番号を書いて、お申込みください。なお、 返信用にも住所、氏名を書いてください。      (申込み先)〒630-8135 奈良市大安寺西1-1000             奈良県立図書情報館「フルートコンサート係」 参加申込みは、往復はがきのみ。1人1枚。5/19(金)必着 応募多数の場合は抽選。定員120名。 #図書館劇場 開幕!  図書館劇場第1幕は、大安寺をめぐる歴史を探ります。    プログラム    1「桓武天皇の平城京行幸」千田 稔(当館館長)    2「大安寺の今昔」河野良文(大安寺貫主)    3「大安寺西塔発掘報告」松浦五輪美(奈良市埋蔵文化財調査センター )    4春日大社雅楽映像上映 日 時 5月27日(金)13:30〜16:30  会 場 1階交流ホール   申込み締め切り迫る! 5/17(水)まで。定員200名先着順。 往復はがき、FAX、メールに郵便番号・住所、氏名、連絡先電話番号を記入し 、「図書館劇場1申込み」と明記してください。往復はがきの場合は、返信用 にも郵便番号・住所、氏名の記入をお忘れなく。    申込み専用アドレス koen@library.pref.nara.jp #企画展示(会場:2階メインエントランスホール) 明日から28日(日)まで、「大和の瓦とその技」展を開催します。大和の瓦 、主として鬼瓦の歴史的変遷をたどり、歴史的建造物において見過ごされがち な瓦を展示します。また、奈良県における瓦製造技術の紹介や鬼をテーマにし た新作の鬼瓦、絵画、瓦の拓本などもあわせて展示します。 3階ふるさとコーナーでは、本企画展示にあわせて、図書展示「瓦−古代瓦を 中心に」を開催します。こちらもご覧ください。 #図書展示 ○「図書情報館で文房四宝を読む」展 開催中 文房四宝(紙・硯・筆・墨)に関する館所蔵図書、雑誌を展示しています。 会場:3階ブリッジ 期間:5月30日(火)まで #戦争体験文庫(3階専門資料スペース) 戦争体験文庫コーナーでは、『戦時下の国民生活 銃後の生活』とテーマで非 図書資料の展示を行っています。 詳しくは    http://www.library.pref.nara.jp/oshirase/exhibition/index.html#E CO   をご覧ください。 ■情報BOX■ ○ホームページのビジネス支援のページ「B−SIDE」、皆さんのビジネス や調査にお役立てください。また、ご意見、ご感想をお寄せください。   http://www.library.pref.nara.jp/reference/biz/b-side.html ○館の有料施設の予約を受付けています。詳細は、県立図書情報館ホームペー ジの有料施設利用案内のページをご覧ください。 http://www.library.pref.nara.jp/guide/index.html セミナルーム及び交流ホールについては、県・市町村共同運営による施設予約 システムからインターネットにより予約することもできます。インターネット で予約を行うには事前の利用者登録が必要です。詳しくは施設予約システムの 利用案内をご覧下さい。 https://e-kotonara.jp/contents/shisetu/reserve_ref/index.htm ■これも図書情報館(4)■  図書情報館は様々な情報関連設備を備えていることは、いろいろと広報され ているところですが、デジタルスタジオについてはいまいち利用頻度が落ちる 気がします。一因として「利用方法がイメージできない」ということもあるか もしれません。 頻度が落ちるとはいえ、半年やっていればいろいろと実績が出ます。実際のス タジオの使用例を紹介したいと思います。 ・写真撮影    商品撮影台や照明設備などを利用して静物の写真を撮影。設備自体がす くないのか意外に多い使い方です。 ・動画撮影    合成用のスクリーンを使用して、デジタルビデオカメラで撮影。スタジ オ設備やオーサリング室で動画編集。4月15日配信のメルマガで紹介された 「動画でメルマガ」の動画の一部はここで撮影しています。 ・録音    音楽や音声を収録して、CDやMDに保存します。紙芝居の台詞やナレ ーションをBGMつきで録音した方がいらっしゃいました。 ほかにもいろいろな使い方ができると思います。利用についてのご相談はスタ ッフまでお問い合わせください。 (やたがい ともゆき) ■図書情報館−職員独り言(4)■    「堀辰雄の奈良滞在と図書館」  昭和16(1941)年10月、堀辰雄は、新しい作品執筆のため二十日間にわたり 奈良に滞在した。昭和12年頃から堀は、日本の古代美への憧れを強め、奈良へ も何回か訪れている。このような堀の古代美への接近の背景には折口信夫の影 響があったといわれている。  この年堀は、「何処か大和の古い村を背景にして、Idyll風なものが書いて みたい。そして出来るだけそれに万葉集的な気分を漂はせたい」との構想を持 って奈良を訪れた。奈良ホテルに逗留し、奈良公園、東大寺、佐保路、秋篠寺 、唐招提寺、高畑などを巡り、法隆寺や河内の高安にまで足を伸ばして、古代 の雰囲気の中に身を置こうと試みた。  堀は奈良滞在中、連日妻の多恵にあてて便りを送っていた。それらからは、 彼の日々の行動や着想のプロセスなどを垣間見ることが出来る。  その手紙の10月16日(夜)附に次のような一節がある。「・・・ 小説の構想だ いぶ出来かかつてきた すこし歴史を調べなければならないのだが図書館は休 館中だし如何しようかと思案中・・・」。  ここに出てくる図書館とは、興福寺境内にあった旧県立奈良図書館のことだ と思われる。10月のこの時期何故休館していたのか、今となっては判らないが 、堀にとっては、非常に残念であったに違いない。彼が図書館で見ようとして いた本が何であったか書名は記されていないが、翌日、京都寺町の古書店まで 出向き、どうしても欲しかった『今昔物語集』を買い求めている。  堀は、この旅で、構想していた古代小説をまとめることは出来なかった。し かし、『今昔物語集』の作品を素材にした「曠野」を着想し、同年12月の『改 造』に発表している。また、妻への便りを基にした「十月」を後に『婦人公論 』に発表している。 なお、堀の書簡は、筑摩書房版『全集8』に収録。堀自身が生前「大和路」に 関するエッセイをまとめた『花あしび』(青磁社)は、2000年に瀟洒な装丁の 本に生まれ変わり、朗文堂から発行された。〔いずれも図書情報館で所蔵〕 (もりかわ ひろゆき) ■連載「図書情報の文化史」素描編■ 第22回 図書情報としての『古事記』と『日本書紀』(その8)                 館長 千 田  稔 『日本書紀』の編纂はどこでなされたのであろうか。令の規定では、国史を監 修する任務は中務省の卿にあるとし、そこに属する図書寮の役割の一つに、国 史の修撰がある。時代が下るが『日本後紀』の延暦16年(797)2月17日条に 「撰日本紀所」を構成する人々の名があげられていることから、正史を編纂す る部局は臨時に設置されたと思われる。令の規定にそって推定すると、その部 局は中務省の中におかれたのであろう。  藤原宮跡の大宝年間相当の層位より下層から出土した木簡に「中務」と墨書 したものがあるので、天武朝に中務省の原型があったと考えられるが、具体的 な場所は不明である。  天武10年(681)に帝紀・旧事を記し定めることを任じられた天智天皇の第 2子川嶋皇子は持統5年(691)に没しているので、藤原京での修史事業には 参画していない。ついでに、川嶋皇子について近年の発掘との関連で述べてお くと、明日香村真弓のマルコ山古墳が皇子の墓地の可能性が高いとされている 。墳丘の平面形が六角形であったことも関心をひいた。(つづく) ♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪ 【 県庁各課等のメールマガジン 】 ◇ 読者登録をお願いします!◇ ♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪ 読者登録はこちらから! 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