≫奈良県立図書情報館メールマガジン≪ ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 「Lib Info NARA −奈良県立図書情報館通信」 H17.12.1 No.011 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ■==■目 次■==■ 巻頭言 おすすめ情報 図書情報館あれこれ 図書情報館 こんな使い方 連載「図書情報の文化史」 編集後記 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ 【巻頭言】     書物の運命          司書監 富山 久代 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ 明代末期の中国、浙江省紹興に張岱(ちょうたい)という文人がいた。彼の家 は江南地方屈指の名門で、代々高級官僚を輩出した家柄であった。しかし彼は いわば名家の道楽息子、官僚の道には一顧だにせず、数寄を凝らした庭園を造 営し、美妓を愛し、美少年を愛し、美食と芝居に明け暮れ、そして書物の虫で あった。しかし、李自成の乱と清の入関によって、張岱の運命は激変した。彼 は93歳という長寿を保ったが、貧窮の果てに自ら田畑を耕しもしたという。 この張岱が、老いてのちかつての豪奢な日々を回顧して記した「陶庵夢憶」と いう随筆集がある。この中に「三代の蔵書」という、三万巻の蔵書の運命を述 べた小文がある。祖父が集めた三万巻の書物は、祖父の死とともに出入りの客 や使用人たちが持ち去り、一日にして散逸した、と。四十年をかけて自ら集め た書物は、兵乱の中で燃やされ、これもまた、すべて消えてしまった、と。 明朝では、三代永楽帝の時代に「永楽大典」という大百科事典を編纂した。し かし、戦乱や火災の中で2万2千巻の大部分が消失散逸し、現在わずかに二百 余冊が残るのみという。王朝の交代が必ずといっていいほど激烈な戦乱を伴う 中国の書物の運命である。 参考:「陶庵夢憶」(岩波文庫)張岱著 松枝茂夫訳 岩波書店、1981.8 (080−12−4.217) ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ 【おすすめ情報】 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ◎11月1日の開館記念式典の様子をご覧いただけます。   http://www.library.pref.nara.jp/oshirase/ceremony.html 県立図書情報館の開館に先立ち、館の有料施設の予約を受付けています。   詳細は、県立図書情報館ホームページの有料施設利用案内のページをご覧 ください。 http://www.library.pref.nara.jp/guide/index.html 絵図展示ギャラリーのデジタル化資料はZOOMA(ドリームテクノロジーズ社)画 像で提供しております。高画質な画像を自由に拡大・縮小・スクロールしなが ら素早くご覧いただくことができます。Zooma の使用方法、動作環境等はドリ ームテクノロジーズ社のウェブサイトをご覧下さい。  http://www.library.pref.nara.jp/gallery/ezu/index.html ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ 【図書情報館あれこれ(11)】 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  「かつてこのような光景だった」と思われる場所に立つとき、人はなぜ特別 な感慨をもつのでしょうか。それは自分が生まれていない過去の場合でも、あ る人にとってはそのような感慨をもつようです。千数百年の歴史をもつ奈良で はなおさらです。そんなに遠い昔のことでなくともほんの数十年前の光景を見 せられるだけで、なんともいえない思いにさせられることはよくあることです 。  先日、奈良市内の跨線橋撤去のポスターを見ていて、ふとそんなことを考え ました。あの登大路通りの跨線橋ができるまでは、近鉄奈良線が西大寺から奈 良まで地上を走っており、現在の船橋商店街のあたりに油阪という駅があり、 そこから奈良までは登大路通りの路面を走っていました。ちょうど駅前にある 行基像の噴水あたりが、近鉄奈良駅の改札口前という感じでしょうか。あいま いな記憶とその当時の情景が交差します。そういえば、現在のJR奈良駅(当 時は国鉄奈良駅ですが)周辺も道路の拡幅や線路の高架化の工事や区画整理で すっかり姿が変わっています。線路の南側に、蒸気機関車の機関庫や巨大なガ スタンクがあったことなど今では想像もつきません。もちろん当時は(昭和4 0年代ころですが)電車ではなく、ディーゼル列車でした。こんなことを当時 の地図や写真、新聞記事などで再構成するのも面白いな、などと考えていまし た。  記録には、日誌のような「今」を記録することと、過去を掘り起こし、改め て記録するというふたつのことがあるような気がします。どちらも未来への置 き土産なのでしょう。その土地が産んだものを物語り、書き記すこと、まさし く歴史にほかなりません。個々人のさまざまな想いが集積され、後世に伝えら れていきます。 図書情報館では、さまざまな手段で(メディアを使って)記録することが可能 です。あなたも想いをかたちにしてみませんか。   ※「奈良県立図書情報館 On the Web」もご覧ください。 http://www.library.pref.nara.jp/newlib/index.html ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ 【図書情報館こんな使い方(11)】 −「ふるさとコーナー」の資料から ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ −市町村史−  県内の各市町村の歴史や文化を知りたいと思うとき、収録対象が広く内容が コンパクトにまとめられている市町村史は手ごろな資料といえます。  当館3階の「ふるさとコーナー」の市町村資料を配架している部分には、奈 良県内の市町村史をまとめて配架しています。総数は約220点ほどあり、刊 行年の古いものとしては明治後期に刊行された『川上村誌』をはじめ平成16 年に出された『川西町史』まで、県内で刊行されたものはほぼ網羅的に収集さ れています。  市町村史に収録されている内容は歴史(通史)を中心に地理、自然、行政、 民俗など多岐の範囲にわたって幅広く収録されています。また、それぞれの自 治体の特徴的な事象などを章立てをして記述しているものも多く見受けること ができます。  最近刊行された『川西町史』全2巻(川西町 2004.3)を例にしますと、目 次から全体が本文編と史料編に大きく分かれていて、その中は  本文編: 歴史編・地理編・社事編・民俗編・同和問題編・文学編・       能楽編・自然編・教育編・行政編・川西町の歴史年表  史料編: 歴史資料−古代・中世、近世・近代       民俗資料・考古資料 という構成になっています。能楽編が独立した章立てとして入っているのも、 能楽発祥と深い関係がある当地の特徴を現しています。  この巻頭言にも書かれていますが、市町村史の編纂は「先人たちの営みや豊 かな郷土の歴史、文化を知ることによって、ふるさとのへの愛を育んで」永く 後世につたえていくという役割をになっているといえます。  市町村に関する基礎資料のひとつとして、活用していただけたらと思います 。  なお、「ふるさとコーナー」の市町村資料を配架しているところは、各自治 体ごとに、市町村史をはじめとした図書や雑誌、要覧・広報などをまとめて配 架していますので併せてご活用ください。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ 【連載「図書情報の文化史」(11)素描編】 第11回 禁書に指定された書籍(その1)                 館長 千 田  稔 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ いま、しばらく、日本の古代の律令をみておきたい。律令の「律」は刑法、「 令」は行政法規であるが、その「律」に禁書の規定がある。官人の服務違反に 対する罰則を定めた 職制律(しきせいりつ)の一つの条に、玄象(げんぞう)の器物、天文、図書 (ずしょ)、讖書(しんじょ)、兵書、七曜暦、太一雷公式を個人の家で所有 すると、徒(ず)一年とある。徒とは今日の懲役刑のことをいう。玄象の器物 は天体観測の器物で、これは書物ではない。 天文とは、天文に関する書籍で、天文による占いを記したもの。図書は、河図 (かと)・洛書(らくしょ)を指す。河図とは古代中国の伝説で、黄河にあら われた龍馬の背中のつむじの形をした文様で、易の八卦はこれに由来するとい う。洛書とは、中国古代の聖王、禹(う)が洪水を治めたさいに、洛水から出 現した神亀の背にあった九つの文様をいう。(つづく) ******************************************************************* 【 県庁各課等のメールマガジン 】 ◇ 読者登録をお願いします!◇ ******************************************************************* 読者登録はこちらから! 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