≫奈良県立図書情報館メールマガジン≪ ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 「Lib Info NARA −奈良県立図書情報館通信」 H17.8. 1 No.003 開館まで95日 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ■==■目 次■==■ 巻頭言 図書情報館あれこれ 図書情報館 こんな使い方 連載「図書情報の文化史」 編集後記 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ 【巻頭言】          奈良県立図書情報館司書監 富 山 久 代 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  SF小説に世代宇宙船ものというジャンルがある。太陽系を遠く離れ、別の太 陽系に向かって何十光年、何百光年という距離を世代を重ねながら恒星間の旅 を続ける宇宙船をテーマにした作品群をいい、1950年代アメリカSFを代表 する作家ロバート・ハインラインの「宇宙の孤児」などがその代表作である。 この世代宇宙船に必ず備わっているものが図書館なのである。恒星間宇宙船と いう閉ざされたシステムの中で、人類の英知を忘れないために、さらにやがて 辿り着くであろう故郷から何百,何千光年と離れた新しい惑星で、人類の一員 であることを忘れないために、人々は図書館とともに旅をするのである。 この地球もある意味ではひとつの世代宇宙船である。この秋開館する奈良県立 図書情報館も、人類の旅に寄り添う図書館のひとつでありたいと考えている。 ちなみに小説の中では、世代間宇宙船の図書館は世代を重ねるにつれ、その存 在の意味を忘れられ、打ち捨てられてしまうことも多い。人々が守り育てては じめて、図書館の未来への旅は続く。そのことを忘れずに、図書情報館を育て ていきたい。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ 【図書情報館あれこれ(3)】 −本の引越し ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ 明治42年に奈良県に初めて県立図書館が開館して以来、二度目の引越しとなり ました。最初は昭和43年。この時は奈良公園から文化会館まででした。今度は 橿原と奈良二箇所に分かれていた図書を統合し、さらに奈良図書館では書庫内 から開架に出すべく選び出した基本的な図書資料群も統合しながら作業をする ことになりました。 5月31日、本の引越し第1便が橿原図書館を出発しました。書庫に入るものはサ イズ別に梱包し、開架するものは分類別に新館での配架位置をしるして梱包し 、搬出されました。以来、続々と資料が送り出され、今も自動化書庫には毎日 7,000〜8,000冊の図書、雑誌が格納されています。部屋を埋め尽くしたダンポ ール箱がみるみるうちになくなり、また山のように運び込まれます。同時に、 広々とした新館の書架にジャンル別に本が配架されていきます。6月11日が、 新館の書架に最初の1冊が置かれた記念の日となりました。 実際に本を置いてみると、思わぬハプニングも起こります。棚当り平均収容冊 数を基準に各ジャンルの図書のスペースを割り当てたところ、各巻がとんでも なく分厚い全集だったために見込みの半分も入らないところが出てきて配架調 整に大汗をかいたり、2棚分しか本がない筈のところへ10箱も来てしまって仰 天したら、番号違いの箱が混ざっていたり、なかなか起伏に富む毎日です。 旧橿原図書館でも旧奈良図書館でも、スペース上の制約から書庫に入れざるを 得なかった基本的な図書も開架し、基本文献から新刊書まであわせ見ることが できる、図書館ならではの書架になります。両館の資料が一つになって蔵書の 幅が広がりました。また、これまで、いつも書庫出納でお待たせした本も自由 にご覧いただけるようになりました。その点も喜んでいただけることと思いま す。 ※「奈良県立図書情報館 On the Web」もご覧ください。 http://www.library.pref.nara.jp/newlib/index.html ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ 【図書情報館こんな使い方(3)】 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ 7月に新しい図書情報館へ移つり、日も浅いですが、3階の開架資料スペースを 歩いてみると、まだ本の入った箱があちこちに散在している中、真新しい書架 に本が並び書籍の懐かしい匂いもします。旧館では手狭なために止むを得ず入 庫していた「史料集」も図書情報館では、直接手にとって自由に閲覧できるよう になりました。これらの「史料集」は、例えば当館が所蔵する資料を生かして歴 史や文化等を研究しようとするとき古文書、日記などの古記録や古典籍などか らその研究に必要な史料を知るために欠かせない資料群です。ネット検索など で上手に探せば、知り得た史料のより詳細な情報を得ることも可能です。しかし 、それはあくまでその史料の情報であって実際に手にし、読み、自分の頭で考え てこそ、初めてその情報が生きるというものです。時折ブラウジングコーナー から佐保川越しに奈良の市街地を眺めて気分転換するのも一興かとおもいます 。 3階で直接閲覧出来る主な「歴史史料集」 ・.大日本史料 東京大学史料編纂所(東京大学出版会) 210.08-75 ・大日本古記録 東京大学史料編纂所(岩波書店) 210.08-136 ・大日本古文書 東京大学史料編纂所(東京大学出版会) 210.08-68 ・大日本近世史料 東京大學史料編纂所(東京大学出版会) 210.08-138 ・訂正増補国史大系 黒板勝美,国史大系編修会(吉川弘文館) 210.08-278 ・史料纂集 (続群書類従完成会)210.08-246 ・史料綜覽 東京大學史料編纂所(東京大学出版会) 210.08-135 ・増補史料大成 増補史料大成刊行会(臨川書店) 210.08-185 ・増補続史料大成 (臨川書店) 受入れ予定 ・寧楽遺文 竹内理三(東京堂出版) 210.08-130(ふるさとコーナー) ・平安遺文 竹内理三(東京堂出版) 210.08-137 ・鎌倉遺文 竹内理三(東京堂出版) 210.08-235 ・戦国遺文 (東京堂出版) 受入れ予定 (このほかに群書類従 続群書類従 続々群書類従 史籍集覧続史籍集覧 改訂史 籍集覧 南北朝遺文なども所蔵書庫にあります。) ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ 【連載「図書情報の文化史」(3)素描編】 まずは「芸亭(うんてい)」から(その3)   館長 千 田  稔 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ 『続日本紀』によれば、「芸亭(うんてい)」の設立事情はこうなのだ。  石上宅嗣の旧宅を喜捨して阿寺(あしゅくじ)という寺院とし、寺の中の一 隅に、外典(げてん・儒教の教典)のための院を設けて、「芸亭(うんてい) 」と名づけた。もし、好学の者がいて、それを読みたいと望むならば、これを 許す。そこで、その意図するところを記して、後の人達に示しておく。その概 略は、内典(仏教の教典)と外典は、もともと一体的であり、極論をいえば、 異なるが、よいように解釈すれば、よく似た面がある。私は、自宅を喜捨して 寺として、心を仏に捧げて久しい。内典の理解のために、外典をもいっしょに 所持した。この地は、寺の伽藍であり、何事にも戒律を守らねばならない。願 うならば、私と同じ志をもって、この院に入る人は、空とか有とかの議論に終 始しないで、物にとらわれることなく、また、将来ここに来る人は、俗世間を 超越して、悟りの境地に入ることをと。その院が今、実際に存在する。臨終に 際しての遺言にしたがって薄葬にした。享年五十三歳。時の人は彼の死を悼ん だ。  つまり、「芸亭(うんてい)」は、儒教関係の書を所蔵した図書館といって よいであろう。(つづく) ******************************************************************* 【 県庁各課等のメールマガジン 】 ◇ 読者登録をお願いします!◇ ******************************************************************* 読者登録はこちらから! http://www.pref.nara.jp/c_etc/mailmag.html  ★「大仏さんのつぶより情報」 (広報広聴課) ★「まほろば*地域づくり情報」(地域政策課)  ★「ボランティア情報誌Vio」(県民生活課)  ★「健康21ファンクラブ通信」(健康増進課)  ★「E−夢 はっしん!」  (教育委員会)    「なら出会いセンター通信」(なら出会いセンター)の読者登録はこちら!  http://www.naradeai.pref.nara.jp/ ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ 【編集後記】 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  梅雨が明け、台風一過、夏本番です。開館準備作業も順調に進んでいます。 さて、県立図書情報館メールマガジン「Lib Info NARA−奈良県立 図書情報館通信」第3号をご覧いただき、ありがとうございました。 次回第4号は、8月15日(月)に配信する予定です。皆様、ご愛読、よろし くお願いいたします。 =================================== ◎このメールマガジンへのご感想、ご意見などは、下記メールアドレスまでお 願いします。 *原則として、返信はいたしませんので、あらかじめご了承ください。 ◎このメールマガジンは、「まぐまぐ」を利用して発行しています。  http://www.mag2.com/ 「新着情報版」「ウィークリーまぐまぐ」の配信  が不要な場合は、こちらで解除できます。 http://www.mag2.com/wmag/ ◎ご覧になるコンピュータの環境によって、文字がずれて表示される場合の  対処については、こちらへ。 http://www.mag2.com/faq/mua.htm 当マガジンの解除は、こちらへ。 http://www.library.pref.nara.jp/netservice/mailmagazine.html =================================== ■□===========================■□ 発行:奈良県立図書情報館 〒630-8135 奈良市大安寺西1丁目1000番地 TEL 0742-34-2111(代表) FAX 0742-34-2777 http://www.library.pref.nara.jp e-mail info@library.pref.nara.jp ■□===========================■□